副腎腫瘍の摘出
こんばんは、院長です。
だいぶ涼しい季節となって、過ごしやすくなってきましたね。
私も先日は久しぶりに自転車に乗って走り、外の空気を久々にゆっくりと味わえました。
あわせて新型コロナによる感染者数も少し落ち着きました。
ただこの4連休でまた増えないかとし心配しています。
これからも予防対策を徹底し、感染に注意していきたいところです。
さて本日のお話は副腎腫瘍の手術です。
副腎とは腎臓のそばにある小さな臓器(1cm以下)で、
体にとって不可欠な様々なホルモンを分泌する臓器です。
年齢と共に腫瘍化することも多く、
腫瘍の種類によって様々な症状が引き起こされます。
治療は内科治療もありますが、
腫瘍がどんどん大きくなる場合や、悪性を疑う場合、QOLの低下が認められる際には
外科手術も必要となってきます。
今回の症例は副腎腫瘍を内科的にコントロールしていたものの、
腫瘍が破裂(自壊)し、お腹の中で出血を起こしました。
内科治療でひとまずは取り戻したのですが、
今後も出血のリスクを抱えたまま生活していくのは非常に危険でもあり、
オーナーは手術を希望されました。
手術前のCT検査の画像ですが、
左の副腎(赤丸で囲った部位)が大きく腫大し、
腎臓や周囲の血管を圧迫しているのがわかります。
このようにCT検査を手術前に撮影することで、
入念な手術計画を立てることができます。
腫瘍外科ではなくてはならない検査ききの1つです。
今回もこのデータを元に実際の手術のイメージを想定して、
オペスタッフ皆で状況を把握してから手術に臨みました。
ここからは手術中の怖い写真が出てきますので、
苦手な方はご遠慮ください。
副腎というのはお腹の中でも背中側、
後腹膜領域に存在する臓器のため、
非常に手術の視野が悪くなります。
まずは周囲の臓器を丁寧に避けて
お腹の奥深くへとアプローチしていきます。
そして一度出血している腫瘍ですから、
周囲の癒着も激しく、丁寧に剥がしていく必要があります。
滅菌綿棒と電気メスを用いて、
出血を最小限にコントロールしながら腫瘍を剥離していきます。
無事に腫瘍が摘出されました。
今回は術中の大きな出血や血圧の変動もなく、
スムーズに終わってくれてホッとしました。
結果も腺腫という悪性ではなく良性のものだったため、
今後は再発や転移の心配もなく、安心です。
このように副腎腫瘍摘出はひたすら丁寧に出血に気をつけて、手術を進める必要があります。
獣医師の中でも難しい手術の1つとして分類されていますが、
入念な手術前の計画と注意深い手技によってクリアすることはできます。
副腎腫瘍だから諦められている患者さんも多くいらっしゃいますが、
このように元気になってホルモン治療からも解放される患者さんがいることもご理解いただけたかと思います。
私は外科医として多くの手術を実施していますが、
どんな病気でも手術が一番だとは思っていません。
もちろん内科的にコントロールできて、負担が少なく行けるのであれば一番でしょう。
外科と内科、それぞれのメリットデメリットを考えて後悔のない選択をしてもらうように
いつも飼い主様にはお話ししています。
今後も他では諦められてしまった子達でも救えるように
日々修練していきたいと思います。
院長
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動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
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