膀胱結石に注意(圧迫排尿が必要な子達へ)
*******セミナーのお知らせ*********
パピー教室 :8月9日(金)、17日(土)、23日(金)、31日(土)
デンタル教室:8月18日(日)
*******獣医師臨時休診のお知らせ*********
平野:8月6日(火)、27日(火)
三浦:8月18日(日)
こんばんは、院長です。
梅雨もあけて本格的な暑さが始まりましたね。
ニュースなどでも熱中症の方が多いことが報道されていますが、
人間だけでなくワンチャン、猫ちゃんも注意してあげてください。
特に高齢の子などでは代謝活動も落ちているため、
エアコンの設定などもこまめに調整していくようにしましょう。
また先週、今週は院長の臨時休診が多くなってしまってすいません。
大阪での心臓外科手術や学会などが重なってしまいました。
私も休みなく動いているため少し疲れが溜まってきていますが、
体調を壊さないように注意したいと思います。
さて本日のお話は膀胱結石についてです。
膀胱結石(その中でも特にストラバイト結石と呼ばれるもの)
は最近ではフードの成分が良くなってきたことなどもあり、
犬でも猫でも少なくなってきたように感じます。
しかし慢性的に膀胱炎が繰り返し、
細菌感染が長期化しているような子ではいまだに起こり得ます。
今回の症例はダックスのワンチャンのお話です。
このワンチャンは昨年に当院で脊髄軟化症の手術を受け、
無事に命を取り止めてくれた子です。
ただし下半身の麻痺は治らないため、一生に渡っての介護も必要になります。
その中でも一番重要なケアが「排尿管理」です。
自分の力で尿を出すことができないため、
毎日定期的にお腹の中の膀胱を手で圧迫して尿を排出させてやる必要があります。(圧迫排尿)
みなさん、最初はなかなか上手にできないのですが、練習とともに上手くなります。
ただし私が口を酸っぱくしてお願いしているのが、
「定期的に尿検査をかかりつけの先生のところで受けてください」といいうことです。
上手くできているつもりであっても、尿の色や匂いが正常に感じても、
気づかないうちに残尿によって膀胱の細菌感染が生じていることがあります。
これに気づかないでいると・・・上にも記載したように膀胱結石が生じてしまいます。
今回はオーナーさんは尿検査の重要性を理解していただいていたのですが、
かかりつけの先生が「尿検査なんてしなくて大丈夫だよ」と仰られてしまい、
その指示に従っていたところ急に尿が出なくなってしまったとのことでした。
尿が出ない原因は、結石が尿道を閉塞してしまったことが原因でした。
そこで当院に来院され、緊急的に手術になりました。
幸い尿道内の結石はカテーテルによって膀胱内に押し戻すことができたため、
今回は膀胱切開による結石摘出術を実施しました。
以下少し怖い写真になりますので、ご注意ください。
まず膀胱をお腹の外に出してきます。
長期間にわたって膀胱炎が生じているせいで、
膀胱の粘膜がとても分厚く肥厚しているのが触るだけでわかります。
そして膀胱に切開を加えたあと、
汚い尿が腹腔内に漏れ出ないように吸引しながら、
結石を摘出してきます。
今回は写真にもあるように非常に小型の結石が多数存在しており、
これが尿道に詰まってしまったことによって尿道閉塞を起こしていました。
これだけの石があれば、何度尿道閉塞を解除しても再度詰まってしまうのも当然です。
無事に取り除けているかを確認した後は、
尿道内のカテーテルから何度も水を流して洗浄を実施します。
合わせて石の取り残しがないように注意深く内部を観察します。
その後は膀胱粘膜、筋層、漿膜をしっかりと縫合して行きます。
縫合部位から尿が漏れ出ないようにリークテストなどもしながら
確実な運針を心がけます。
そしてお腹も縫い合わせて、
無事に手術は終了しました。
痛々しい傷になってしまいましたが、とてもよく頑張ってくれました。
このように細菌感染の生じた膀胱炎を長期間放っておくと、
このようなストラバイト結石という石が形成されてしまいます。
とくに脊髄軟化症や椎間板ヘルニアの術後に圧迫排尿が必要な子達では、
尿を出し切ることができないため膀胱炎を生じる可能性が高いです。
もちろん圧迫排尿のとても上手な方では、数年間何もトラブルがないという方もいらっしゃいますが稀です。
私の愛犬小豆も生前は圧迫排尿が生涯にわたって必要でしたが、
何度も膀胱炎を生じました。
もちろん早めに気づいてあげることができれば適切な対処によって、
怖いことにななりません。
ですので、ブログ記事タイトルにもあるとおり
圧迫排尿が必要な動物を飼ってらっしゃる方は
くれぐれも気をつけていただきたいと思います。
尿検査は朝一番の尿をパッと病院に持っていくだけで完了します。
確かに毎月となると面倒かもしれませんが、
このような大事にならないように心がけていただきたいです。
かかりつけの先生が必要ないと言われても、
なんとかお願いして検査してもらうようにしましょう。
以上、院長からのお願いでした。
それでは今日はこの辺で・・・ 出来ましたら、「いいね」をお願いします♪
⭐︎インスタ始めました⭐︎
京都市内初の腹腔鏡システム、CT検査装置導入 [腹腔鏡下避妊手術、遠隔診断]
動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
ISFMキャットフレンドリークリニック ゴールド認定