京都での心臓外科手術スタート(僧帽弁閉鎖不全症)
こんにちは、院長です。
随分と久しぶりのブログ担当の気がしますが、皆様はお変わりないでしょうか?
私は日々ありがたく忙しくさせていただいています。
10月になっても比較的暑い日が続きます。
寒暖の際に気をつけて体調を崩さないように頑張りたいと思います。
さて本日は当院で心臓外科手術を受けたチワワの女の子のお話です。
チワワやマルチーズ、トイプードル、キャバリアなどの犬種で非常に多い心臓病。
心臓病の中でも高齢になって発生する「僧帽弁閉鎖不全症」が圧倒的に多いです。
僧帽弁閉鎖不全症については以前にも説明(詳しくはこちら)したことがあるので、
割愛しますが、今までの獣医療では基本的に進行性の病として認識されていました。
早期発見と適切な内科治療によって多くの子は天寿を全うしてくれることもありますが、
やはり中には肺水腫などの重篤な状態で亡くなってしまう子もいます。
内科治療しかできない病気と獣医療界では考えられていましたが、
近年では動物でも人間同様に体外循環装置を利用した心臓外科手術が実施されるようになってきました。
しかし小さな動物の心臓を止めて、その中を手術するというのはとてつもない難易度と設備が必要です。
そのため心臓外科を受けられる施設は限られており、全国でも10本の指はないかと思われます。
もちろん京都でも今まで心臓外科手術を受けられる動物病院はなかったため、
亡くなってしまう子や、大阪の施設まで状態の悪い子を連れていく必要がありました。
それを打破しようと私が4年前くらいより大阪の施設に研修に行くようになりました。
現在では週1回ほどその施設で心臓外科手術に携わるようになりました。
そして長期間の準備を進めて、ようやく京都の当院で実施できる環境が整いました。
手術には多くの設備と人員が必要になりますが、多くの仲間が集まってくれるようになりました。
術者だけでなく助手や器械出し、麻酔、臨床工学技士など外部から招聘しているメンバーも含めて総勢10名近くで手術に臨みます。
今回の手術中の写真になりますが、広めな当院の手術室も流石に狭く感じてしまいます。
しかし多くの人間が一つの小さな命を救うために頑張っています。
そして実際の手術中の写真と動画を載せますが、
私の手と比べてもらっても、とても小さな心臓です。
その小さな心臓の中の僧帽弁を修復していきます。
(腱索再建および弁輪縫縮)
これは無事に心臓手術が終わり、心臓が再鼓動している動画です。
このように緊迫した空気の中で手術に臨みます。
そしてチワワの女の子はおよそ6〜7時間近くにおよぶ長時間の手術に耐えてくれました。
数日は徹夜での看護も続きますが、日に日に体調は回復して10日ほどで無事に退院してくれました。
これは退院後の再診時の写真ですが、現在はとても元気な姿を見せてくれています。
おそらく手術をしなければ1年ほど長くても2年以内には命を落としてしまっていた可能性もあります。
しかしもう心臓病で命を落とすことはないでしょう。
これからは元気一杯運動もして楽しい人生を歩んで欲しいと思います。
このように僧帽弁閉鎖不全症は不治の病として考えられていましたが、
現在では手術も可能な疾患となってきています。
そして今までは大阪などの遠方に手術を受けにいく必要がありましたが、
これからは京都でも当院での手術が実施可能です。
すでに年内の予約は埋まってしまっていますが、心臓病と診断されてしまった子は一度相談してもられればと思います。
何でもかんでも手術がいいというわけでもないので、適応を見極めながら、その子その子にあった治療法を検討したいと思っています。
これからも小さな命を少しでも救うために、自分のできることを増やしていきたいと思います。
院長
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動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
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