尿管外科続きます。(尿管膀胱新吻合術のご紹介)
こんばんは、院長です。
最近は重たい手術ばかりで、なかなか通常の診察で皆さんとお会いできずに寂しく感じております。
最近多い手術といえば、心臓外科、尿管外科、神経外科の3つです。
心臓外科に関しては1つの手術で6時間以上も時間を取られてしまい、その後術後管理も含めると、それだけで1日が終わってしまいます。
なかなか私の予約も取りづらくご迷惑をおかけしていますが、年明け以降まだ1日も休日を取らずに頑張っておりますので、ご理解いただけるととても助かります。
もちろん救急の場合は時間を捻出して対応していますので、お困りの際は一度ご相談いただければと思います。
さて本日のお話は最近は他の病院さんからの紹介も多い手術、尿管外科です。
尿管とは下記のイラストに丸通り、腎臓と膀胱を繋ぐ非常に細い管であり、
そこに石が詰まって閉塞を生じると、水腎症、急性腎障害を発症し、長期間経過すると腎機能が失われてしまう非常に怖い病気の一つでもあります。
以前にもご紹介したことも多々ある病気ですので、皆さんも覚えていらっしゃるかもしれません。
この病気はもちろんワンちゃんも発症しますが、特に最近多いのは猫ちゃんです。
そして猫の尿管というのは細い部分では内径0.4mmと非常に細く、手術するには非常に繊細な手技が必要となります。
当院では私がこの手術に対応できるため、最近では非常に多くのご紹介をいただきます。
手術方法としては
①尿管切開術(結石のある部位を切開して石を取り出し縫合する方法)
②尿管膀胱新吻合術(尿管と膀胱を新しくつなぎ直す方法)
③腎臓膀胱バイパス術(尿管の代わりに膀胱と腎臓を繋ぐ人工管を設置する方法・SUBシステム)
上記の方法のいずれにもメリット・デメリットがありますが、できれば①ないし②で手術を終えたいのが本音ではあります。
①尿管切開術および③腎臓膀胱バイパス術の手術については以前にもブログで書いたことがありますので、
今回は先日来院された症例に②尿管膀胱新吻合術を実施しましたので、手術の流れを記載したいと思います。
まず尿管というのはお腹の中でも背中に近い奥深くを脂肪に包まれて走行していますので、
それを探し出して綺麗に剥離していく必要があります。
次に切開した尿管は非常に細いため、少しでも内径を広げるために細かいハサミで切開を加えていきます。
そして膀胱に小切開を加えて、支持とするカテーテルやガイドワイヤーを頼りに少しずつ膀胱と縫合していきます。
使用する糸も7-0という規格の髪の毛よりも細い糸で、とても繊細な作業が必要になります。
尿管の全周を漏れがないように丁寧に縫合して、無事に吻合は完了です。
この後も術後しばらくは腎瘻チューブなどを設置しながら、尿管の運動性が回復してくるのを待つ必要があります。
このように尿管の手術はもちろん術中も大変ですが、術前は急性腎不全を呈していることも多く、術後も尿管の疎通性が回復するまで丁寧な経過観察と適切な判断が必要となります。
もちろん非常に細かい作業で裸眼では実施できませんので、私は3.5倍に拡大鏡を用いて手術をしていますが、これが何とも目が疲れます。
しかしまだまだ10年以上のキャリアがあるとはいえ、獣医師でいえばまだまだ若手です。
その若手を頼っていただけるのでから、とても嬉しいものです。
そして今からもまだまだ勉強してスキルアップして、頑張る必要があると思っています。
今日は尿管外科について説明しましたが、この病気は放っておくと腎機能が失われてしまい取り返しのつかないこととなります。
排尿困難や急な腎不全が生じた際には、しっかりとエコー検査をしてもらって早めに気づいてあげてほしいです。
当院の患者さんはもちろん、他の方でもかかりつけの先生に定期的なエコー検査を実施してもらうのがいいでしょう。猫ちゃんブームが続いていますが、このように猫ちゃんの病気についいても多く知られるようになってほしいと思います。
院長
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JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
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