門脈シャントの手術(Cアームの意義)
7月23日(木)
こんばんは、院長です。
ようやく雨も少なくなってきて、夏らしくなりましたね。
まだまだコロナの恐怖は残りますが、日々気をつけながら
1日1日を大切にしていきたいと思います。
さて本日は門脈シャントという病気についてです。
ブログにも何度か上がっている病気ですが、ここ最近この病気の手術が非常に増えています。
飼い主さん自身が手術を求めてこられたり、獣医さんから紹介を受けたりと、ありがたい限りです。
門脈シャントとは通称で正式には「門脈体循環シャント」と言います。
お腹の中には門脈という血管が存在し、門脈は肝臓に栄養を与える重要な血管です。
その門脈が生まれつき分岐してしまい、大静脈に流れていってしまうことで、肝臓に十分な栄養が行き渡らな苦なります。
それにより小肝症といって肝臓が小さくなったり、
アンモニアが体内に代謝されずに入るせいで肝性脳症という発作を生じたり、
結石ができやすくなってしまったり・・・
様々な病態を引き起こします。
この症例のCT写真は門脈から分岐した太い血管が脾静脈という血管を経由して、後大静脈に流入している写真です。
(なかなかわかりにくいと思いますが。。。)
とりあえず大事なのはCT検査で診断がつくという病気です。
そしてCT検査で分岐した異常血管を見つければ、
後は手術で異常血管を結紮して血液の流れを正常にする必要があります。
そして手術で大事なのポイントがいくつかあります。
①異常血管を間違えずに結紮できるかどうか?
②結紮した後の門脈の血圧が高くなりすぐないかどうか?
③肝臓内に流れる門脈は結紮後どのように流入していくか?
①はCT検査で、②は門脈圧測定というのを手術中に実施することでわかります。
③に関しては、少し大変です。
今までは手術中にレントゲンを上手いタイミングで撮影して確認する必要があり、非常に手術が煩雑となっていました。
また通常のレントゲン写真では綺麗にに写らない事も多く、少し不安なこともありました。
それらを払拭するためにも、昨年に導入した医療機器があります。
写真のようにCの形をした部位があることから『Cアーム」と呼ばれる透視専用のレントゲン装置です。
リアルタイムでレントゲンの動画を確認することができるため
カテーテル治療や骨折治療などで活躍します。
そして当院の機器にはDSAという血管を綺麗に描出する機能が備わっています。
京都府の動物病院では当院にしかないものになりますが、この機能があれば肝臓内の門脈がしっかりと確認できます。
これは実際の手術中に撮影した動画写真の一コマですが、門脈から分岐する異常血管を結紮する前です。
造影際のほぼ全てが後大静脈に流入してしまってるのがわかる写真です。
そして異常血管を遮断すると・・・
肝臓内に門脈と呼ばれる血管が木の枝のように分かれて入っていくのがわかります。
これが分かれば安心して手術を終えることができます。
この症例も無事に手術は終了し元気に帰ってくれました。
このように今までにはなかった医療機器のおかげで、より安全に門脈シャントの手術を実施することができるようになっています。
それもあってか、最近では紹介が多く、先週だけでも2件の門脈シャントの手術がありました。
医療機器の進歩は本当に目を見張るものがあります。
しかし、これらを使いこなす側がしっかりしていないと宝の持ち腐れになってしまいます。
今後も最新の知見を吸収しつつ、動物を助けるための設備投資を実施して、
より多くの子たちを救えるようにしたいと思っています。
他にも紹介していない医療機器がたくさんありますので、また紹介したいと思います。
今後とも常にアップデートし続ける右京動物病院をよろしくお願いします。
院長
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動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
ISFMキャットフレンドリークリニック ゴールド認定