尿管結石の手術、増えてます。
こんばんは、院長です。
蒸し暑い日が続きますが、コロナの影響はおさまりませんね。
当院でも第二波に気をつけながら日々の業務に取り組んでおりますが、
飼い主様のご協力も重要です。
皆で意識を高く持ちながら、この波を超えていければいいですね。
さて、本日は猫の尿管結石の手術のお話です。
尿管とは腎臓と膀胱を繋ぐ管のことで、
そこに石が詰まることによって尿が流れなくなり(尿管閉塞)、
急性腎障害を発してしまう怖い病気です。
尿管は非常に細い管で、正常な尿管の内径は0.4mmとも言われています。
その細い管を切ったり縫ったりするのには非常に繊細な技術が必要となります。
そのため尿管結石の手術は獣医さんから直接私への紹介が多く、先週は3件も手術がありました。
尿管結石の手術にもいろいろあります。
これはCT検査での検査所見ですが、白く輝く結石が確認されています。
それによって尿管閉塞が起こり、腎臓が非常に拡張しています。
手術の方法として様々なものがありますが、
当院で実施している手術は下記になります。
①尿管切開術
②尿管膀胱新吻合術
③皮下尿管膀胱バイパス術(SUBシステム)
③の手術は腎臓と膀胱を繋ぐ人工チューブを体に設置することになるので、
できれば①か②の手術が望ましいと当院では考えています。
(もちろん患者の容態や、閉塞部位、尿管の疎通性などによっては③を選択することも必要です)
今回は①の手術について私の手術方法を描いてみようと思います。
まずはお腹を開けて尿管を探すところからスタートです。
尿管は後腹膜という領域の脂肪に囲まれていますので、
内臓をうまく避けながら操作していきます。
上記はその周囲の脂肪も除去して露出をしている写真です。
尿管に詰まっている石が見つかれば
マイクロメスを用いて切開して石を摘出します。
これが石の写真になりますが、
非常に小さく、数mmであることが多いです。
そのあとは切開した尿管を縫合していきますが、
非常に内腔が細いため注意が必要です。
私は腎臓からガイドワイヤーという細い管を尿管に通して、
膀胱までの疎通性を確認するとともに
縫合の際に尿管内腔を確保するようにして確実な手術を実施しています。
(Cアームという先日も紹介した器械がこれには必須で、私を手術中に助けてくれる大事な存在です。)
そのあとに尿管を縫合していきます。
この際にも髪の毛よりも細い糸を使用していきます。
もちろん裸眼ではしっかりと確認できませんので、手術用ルーペが必須です。
私がかけているルーペは3.5倍のもので、視野が拡大されています。
これらが尿管を縫合した写真になります。
非常に小さな縫合が見てわかると思います。
そしてこのあとは内科管理によって
腎臓の状況が良くなれば退院となります。
このように尿管閉塞の手術は非常に繊細な作業やCT、Cアームなどの高度医療機器が必要となるため、
どこの病院でも実施できるものではなく、私の元まで紹介されるケースが多いです。
多くの子が生死をさまよう段階で送られてくるため、非常に神経を使います。
しかし大変な手術と術後管理を乗り越えて元気に帰ってくれると私も救われます。
今日は私の尿管手術の一つを説明しました。
京都の症例のほとんどが当院に紹介される状況のため責任は重大ですが、
猫ちゃんを脅かすこの病気の最後の砦となれるようにこれからも精進しようと思います。
院長
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動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
ISFMキャットフレンドリークリニック ゴールド認定