京都市の動物病院「右京動物病院」右京動物病院ブログ・お知らせ猫ちゃんの副腎腫瘍

猫ちゃんの副腎腫瘍

診察

こんばんは、院長です。

9月末日となり、徐々に秋の気配が強くなってきました。
私の数少ない趣味の一つは「美味しいものを食べること」ですので、「食欲の秋」は好きな季節です。
9月は緊急事態宣言がずっと出ており、外食も全くできない状況でしたが、10月からは少しでも外で美味しいものを食べられる環境になれば嬉しいです。
もちろんコロナ感染には気をつける必要はありますが、ずっと引きこもっていると動物でも人でも精神的にまいってしまいますよね。
適度にストレス発散しながら、感染対策を実施していきたいと思います。

また先日に私の多く手がける手術の一つでもある病気「進行性脊髄軟化症」に対する専門ページが公開されました。
リンクはこちらです。

より多くの方に治療法があるということを知ってほしいという気持ちから、当院受付スタッフの永徳さんが業者さんとやりとりしながら公開までこぎつけてくれました。
まだまだ完成途中でプレアップの状況ではありますが、皆さんもご覧ください。
永徳さん、お疲れ様でした。そしてありがとう。

さて今日の本題は「猫ちゃんの副腎腫瘍」についてです。
副腎腫瘍には大きく分けて腺癌と褐色細胞腫というものがありますが、どちらも根治治療としては外科手術による完全摘出です。
ただ犬と猫では圧倒的に犬の発生率が高く、私も猫ちゃんの経験はありませんでした。
今回は新オープンした御池分院で腫瘍が見つかり、その治療のために私の元へ受診いただきました。

こちらがCT検査の写真になりますが、なかなか一般の方には難しいかもしれません。
ただ簡単に言えることは、副腎というのはお腹の大血管である後大静脈や腹大動脈にとても近い部位に存在しており、手術が大変になるケースが多いということです。
また今回の検査所見では、非常に血流が豊富で、後大静脈や腎臓に密接しており癒着なども懸念される状況にありました。
しかし転移を所見はなく、また大静脈が圧迫されることで非常に血流も悪くなっていることから、オーナーさんもリスクを承知の上で手術を望まれました。

私も犬での経験はよくありますが、猫ちゃんでは初めてであり、絶対安全だとは言えないまでもチャレンジさせていただく形となりました。
副腎腫瘍では血圧が手術中に大きく変動することも多く、麻酔管理も非常に重要となるため、当日は当院の麻酔を全面的に担っている小澤先生に麻酔管理をお願いして手術へと臨みました。

術場の写真にはなりますが、助手に国広先生、器具出しに細田先生が入り、獣医師皆で一つの命を救うために全力で取り組みました。


少し怖い写真になってしまいますが、こちらが腫瘍の写真になります。
べったりと後大静脈や腎静脈に張り付いており、癒着も多く、非常に時間のかかる手術となることが即座にわかりました。
しかし丁寧に剥離を進めていき摘出が完了しました。

名刺サイズよりは少し小さいですが、猫ちゃんにとっては非常に大きな腫瘍です。
手術中も血圧が大きく変動し、また出血も多く非常に大変な手術とな入りましたが、獣医師皆の助けもあり、何とか乗り越えられました。
皆、本当にありがとう。お疲れ様でした。

術後の合併症も心配でしたが、幸い大きな問題もありませんでした。
最初はよく怒る怖がりさんだと聞いていましたが、数日後にはスタッフにも甘えてくれるようになり心も打ち解けてきました。

そして元気に退院してくれて、非常にうれしい限りです。

今回は非常に危険でチャレンジングな手術でしたが、ホッとしています。
当日や翌日にも宿直で私含めてスタッフが管理してくれて疲れもあったとは思いますが、
このように諦められてしまうような子達が当院で元気になって帰ってくれるのが何よりもの喜びです。

このように動物医療ではまだまだ報告の少ない症例や情報の少ない治療法も多くあります。
それでも諦めずに立ち向かえるのは、チームワークと情熱だと思っています。
当院ではこのチームワークというものを非常に重要視しており、全員がそれぞれ主人公として活躍できるようにサポートしています。
これからも多くの難治症例たちを救えるようにスタッフ皆が成長しながら、oneチームで動物と向き合っていきたいと思います。

院長

それでは今日はこの辺で・・・ 出来ましたら、「いいね」をお願いします♪

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