獣医も一飼い主であり人間である
こんばんは、院長です。
気づけばもう6月。
梅雨の時期になり、当院も先月末の5月24日をもって無事に開院9周年を迎えました。
それに際し、お祝いの言葉や、嬉しい贈り物など、本当に感謝の限りです。
来年は節目の10周年。
コロナが落ち着いていれば、何かしら飼い主様にも参加していただけるイベントなども考えています。
そしてこれからも前進し続けますので、皆様何卒ご支援のほど、宜しくお願いします。
さて本日は、獣医も一飼い主であり人間である。というお話です。
今週は私にとってとても大変な1週間でした。
通常の診察や出張に加えて、今週はとても多くの手術があり、夜間看護があり、限界を迎えています。
流石にこの生活が続くといつ自分が死んでもおかしくないと思えるほどでした。
今週実施した手術は
・心臓外科(僧帽弁形成術)2件
・腹腔鏡下膀胱結石摘出 2件
・腹腔鏡下卵巣子宮摘出 3件
・腎瘻カテーテル設置 3件
・乳糜胸(胸管結紮・心膜切開・乳糜槽切開) 1件
・腸管切除 1件
・両側膀胱尿管新吻合術 1件
・膵臓部分摘出・リンパ節郭清・肝生検 1件
これらを1週間で実施する必要があり、その多くが緊急的であったり、重症例であったため毎日病院に泊まり込みでした。
おそらく診察させていただいた方は私の疲れている顔を見せてしまったかもしれなく、申し訳なく思います。
また精神的にキツかったのは、上記のうち1件は愛犬餡の手術だったことです。
普段は院長室のベッドでダラダラと腹を出して寝ている可愛い子です。
スタッフ犬としていますが、ほとんどは寝て過ごしており、私に癒しを与える存在になっています(笑)
手術の内容や病気の内容については、またご報告しますが、自分の犬の手術というのはやはり精神的にきます。
私は獣医師であり、その中でも外科医ですので、多くの患者さんの手術を実施させていただいています。
もちろんどの子の手術も予習をして、緻密に計画をたてて、全力で取り組んでいます。
手術の失敗ということはもちろんありませんが、持病の関係や病状の進行度などでどうしようもない時もあります。
そうやって結果として助けられない子がいるのも事実です。
そういった際に飼い主様の中には私を責められる方もいらっしゃいます。
私も今までに自分の子を見送ってきた経験から、やりきれない喪失感や行き場のない怒りに似た感情を覚えることはありました。
その際に獣医師を責めるというのは一つの心の問題の解決方法なのでしょう。
多くの方は時間がたてば、それが致し方ないことだったと冷静になっていただけますが。
しかし自分の子を手術するということは、治療するということは、
全責任が自分についてくるということです。
何かあっても、どうしようもないことでも、自分を責める以外に方法はありません。
治療をするかどうかを決めるのも自分、手術するのも自分、とても大きなプレッシャーがかかります。
手術前の餡ちゃんです。
少し不安そうな顔をしていますね。
手術中の様子です。
実は手術に入ってしまうと、アドレナリンが出るのか、集中力が増すのか・・・
怖さはありますが、全く緊張や不安は出てきません。
没頭できる感覚に陥ります。
何はともあれ手術はうまくいってくれたのでよかったです。
傷跡は大きく痛々しいです、本当に我が子ながらよく頑張ってくれました。
今週は上記の多く入院患者たちの術後管理をスタッフにも手伝ってもらいながら、
皆が病院に泊まり込み、なんとか乗り切ることができました。
本当に頼もしいスタッフたちで感謝の念に絶えません。
皆いつもありがとう。
このブログを院長室で書いている今では、元気になりつつある餡ちゃんが再び腹を出して寝られるくらいまで回復してくれました。
本当によかった。
獣医師という職業は本当に大変です。
情報によれば自殺率が非常に高いことでも有名です。
おそらく多くの獣医師は本当に動物が好きでしょう。
そして自分の子と同じように全力で治療に当たっているはずです。
それでも救えない命に多く出くわします。
特に他院では実施しないような高度医療を提供し、最後の砦となればなるほどに死を多くみます。
その際には動物好きであればあるほど、苦しい気持ちになります。
もちろん感謝されることも多いですが、その中では前述のように獣医師を非難される方もいらっしゃいます。
しかし獣医師も一飼い主であり、自分の子の治療でさえ不安になり一喜一憂します。
そこで非難の言葉を受けると心が潰れそうになります。
また獣医師も人間であり常に全力で働き続けたいと思いますが、睡眠時間や休息がないと生きていけません。
私たちに見て欲しいという人の中には、早急な手術に診察、毎日の夜間対応を希望される方もいらっしゃいます。
その期待に応えるべく突き進んできましたが、やはり叶いそうにありません。
それでも、この1週間は重症患者の治療を含めて、愛犬の手術も実施し睡眠時間を削って1日20時間近くは働いたと思います。
また休診日を月曜日にいただいていますが、その日も手術や事務仕事などで仕事しており、この1ヶ月くらいは休みをもらっていません。
休みの日に出てきたり、スタッフも宿直を頑張ってくれました。
ただそれでは私たちが倒れてしまうのも時間の問題であり、未来に救える多くの命を見捨てることにもつながります。
今週はなんとか気合いで乗り切りましたが、少しこれからの働き方も見直していこうと思いました。
今日は少し愚痴のような弱気な内容で申し訳ありません。
獣医師も一飼い主として動物を愛しており、
人間として感情があり休息も必要である。
ということを少しでも皆様にご理解いただきたくて書きました。
しかしまだまだ全力で取り組んでいこうとは思いますので、少し暖かい目で見てもらいながら応援していただけると嬉しいです。
今後も右京動物病院を宜しくお願いします。
院長
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動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
ISFMキャットフレンドリークリニック ゴールド認定