移行上皮癌、厄介な病気です。
こんばんは、院長です。
11月になり本格的な寒さとなりましたね。
愛用のヒートテックをなんとか11月までは使わずに耐えていましたが、今月から解禁しました。
風邪をひかないように暖かくしていこうと思います。
また本日は動物看護師さんの国家資格化に向けた予備試験と言われる日でした。
全国の多くのベテラン動物看護師さんがテストを受けられたことかと思います。
当院からも数名のスタッフが受験会場へと行っていました。
皆よく頑張りました。
結果は出るまで心配ですが、まずはゆっくり休んでもらえればと思います。
さて本日久しぶりのブログは症例のお話にしようと思います。
今回は雄犬の移行上皮癌についてです。
移行上皮癌は悪性の腫瘍であり、犬では膀胱に多く発生します。
また浸潤性が非常に高いだけでなく、尿が腫瘍の影響で出なくなってしまうこともあるため注意が必要です。
今回のワンちゃんは13歳のイタリアングレイハウンドです。
こちらは飼い主さんからいただいた写真ですが、非常に可愛い男の子です。
数ヶ月前から血尿と頻尿が続いており、
かかりつけ医のもとで膀胱腫瘍の可能性が高いとのことで、私の元へ治療を目的として紹介来院されました。
手術前のCT検査です。
少し難しい写真となりますが、膀胱の腫瘍が尿管の出口を閉鎖することによって、
腎臓から尿が排出できずに水腎症となってしまっています。
こうなると治療はとても大変です。
膀胱は腫瘍で置換されており尿道も侵されていることから、
腎臓の尿を排出する経路を新たに作ってやる必要があります。
そうでないと尿管閉塞による急性腎障害により命を早急に落としてしまいます。
しかし治療をしても手術後は常に尿が垂れ流しの状態となるため、
飼い主さんの看護がとても大変ですので、覚悟も必要です。
今回は飼い主さんも別の動物病院の看護師さんでもあるということもあり、
手術を頑張って受けさせてやりたいと決心されました。
以下、手術中の怖い写真となりますので、苦手な方は進めないようにしてください。
こちらは開腹後、膀胱及び尿管を分離したものになります。
膀胱及び尿道は摘出後、腫瘍に侵されていない尿管を切離し、包皮(おちんちんの皮)に直接開口させるようにします。
手術後の写真で痛々しいですが、、包皮に直接開口した尿管へと管が入っている写真です。
今後はここから直接尿が垂れ流しになるので、常におむつ生活となってしまいます。
しかし尿が出るようになったことで、これからもまだまだ生きることができます。
このように腫瘍のできた場所によっては、治療自体によって生活の質が落ちてしまうということが多々あります。
そのような場合には飼い主さんとじっくり話し合い、治療をするメリット、デメリットをしっかり相談します。
そこで飼い主様が決心されれば、その意向に従って治療を進めていきます。
我々も神様のようになんでも元通りに直せるわけではありません。
しかし少しでも共に生きていけるように、辛くないようにお手伝いができればと考えています。
院長
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動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER・SAGANO
JAHA認定 総合臨床医・外科医/ 国際中獣医学院認定 中獣医鍼灸師
ISFMキャットフレンドリークリニック ゴールド認定