進行性脊髄軟化症の手術(フレンチブルドック編)
9月11日(月)
こんばんは、院長です。
最近は病院外の仕事も非常に多くバタバタと過ごしています。
そのため土日に臨時でお休みをいただくことも多く、指名の患者様には
ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。
ホームページのトップ画面の獣医師勤務表にて最新2週間分の予定が
掲載されるようになりましたので、そちらでご確認ください。
もしくはお電話でご確認の上ご来院いただければと思います。
さて今日は度々ブログでもご紹介している病気「進行性脊髄軟化症」についてです。
この病気は椎間板ヘルニアの後に生じる致死性の高い危険な病気です。
しかしその発生率はあまり高くないため、あまり知られていない病気の一つでもあります。
私の経験上、ダックス、トイプードル、フレンチブルドックの三犬種の
発生率が圧倒的に高いように感じます。
椎間板ヘルニアを発症し、MRI検査を行ったところ脊髄軟化症の可能性が極めて高いと診断されました。
関西の大きな病院を巡るも、どこでも治療ができないとのことで兵庫県より当院に来院されました。
術前の動画になりますが、前足にも少し麻痺が出始めてきているため、
前足での歩行も難しくなってきています。
当院での手術の適応基準として「前足がまだ麻痺していないこと」というものがあります。
これ以上進行すれば顔面神経麻痺や呼吸障害が出てきてしまうため、
非常にギリギリの状況でした。
1分1秒も無駄にできないため、他の患者さんには申し訳ないですが、
急遽院長の午後診察を休みにして手術に挑みました。
大変な手術になるけど頑張ろうね。
(ここからは手術中の写真が出ますので苦手な方はご注意ください)
まずは今回の脊髄軟化症の原因ともなった椎間板ヘルニアを治療します。
逸脱して脊髄を圧迫している椎間板物質を摘出しましたが、
奥にある脊髄が暗赤色を呈しており非常に重篤な状況であることがわかります。
その後脊髄を覆う膜を切開してみると、ドロっと軟化(壊死)した脊髄が流れ出てきました。
これで脊髄軟化症の確定診断がつきました。
この後は障害を受けている脊髄を全て露出し浮腫を改善させる治療を実施します。
脊髄を傷つけないように、背骨に小さな穴を開けていきます。なかなかの体力仕事です。
手術は無事に終了しました。
4時間にも及ぶ大手術でしたが、よく乗り切ってくれました。
しかしこれだけではまだ安心できませんので、
1週間は積極的な内科治療も併用していきます。
この病気は1週間が山場と言われていますので、それを乗り切ってくれるか。
飼い主さんとともに祈りました。
そいて1週間、2週間が経過し・・・
麻痺は進行することなく、命を取り留めることができました。
術後の動画ですが、前足の麻痺も少し改善し、
状況がよくなっているのが分かります。これで後はもう一安心です。
今後は圧迫排尿やリハビリなど大変なことが続きますが、命あればこそです。
動物たちは懸命に生きようと頑張ってくれます。
愛犬・小豆も10年以上に及ぶ介護生活でしたが、幸せに犬生を生き抜いてくれました。
この子もまだ7歳。犬生はまだまだこれからです。
頑張って長生きして、素敵な思い出をたくさんご家族と作って欲しいと思います。
最後の退院前に家族でパシャリ。
いい笑顔をいただいて、このような仕事ができることに感謝です。
院長
京都市右京区(鳴滝・常盤・太秦・嵯峨・嵐山・花園・梅津・円町・西京極)
京都市内唯一腹腔鏡システム導入 [腹腔鏡下避妊手術]
動物の総合健康管理施設右京動物病院 HEALTH CARE CENTER