会陰ヘルニアの手術
8月19日(火)
さて当院では子供を生ませる予定がないのであれば
避妊・去勢手術を勧めています
可哀想とおっしゃられる方もおられますが
しなかったがために苦しい思いをしている子を
今までたくさん見てきました・・・
今回は中年齢の未去勢の雄犬で起こりやすい病気です
「会陰ヘルニア」
ヘルニアと聞くと腰の病気と思われるかもしれませんが
もともとヘルニアというのは正常な場所から臓器などが逸脱した状態のことを言います
この病気はお尻周りの筋肉が萎縮することによって穴が生じ
腸や膀胱などの腹腔内臓器がお尻の皮膚の下に逸脱してくる病気です
見た目にはお尻の横がポッコリと膨れてくるので飼い主さんでも気付きやすいです
症状は便や尿が出にくいといったものが一般的です
放っておくと筋肉はさらに萎縮して 穴は大きくなり
最悪尿道閉塞や腸穿孔といった怖い状態も引き起こします
今回の子のレントゲン写真ですが
赤丸で囲ったところ・・・
直腸が尻尾のとなりにまで出てきてしまっているのが分かります
しかし他院で一度手術をしているのに再発してしまった症例です
恐らく癒着もあるでしょうし
筋肉もボロボロになっている可能性があります
心して手術に臨みました
右側のお尻が今回のターゲットです
この手術は再発率が高いことでも知られていますが
近年では様々な術式が考案され再発が少なくなってきています
今回選択したのは「内閉鎖筋転移術」という術式です
皮膚を切開し周囲組織を丁寧に処理しながら
開いている穴を確認します(ガーゼで逸脱組織を奥へ押し込んでいます)
そして内閉鎖筋という筋肉を丁寧に骨盤から剥がしてきて
穴を塞ぐために結紮していきます
穴が大きすぎる場合や筋肉が萎縮しすぎている場合は
ポリプロピレンメッシュを用いた術式で対応します
(母校・大阪府立大学の先生に教えて頂きました)
無事に手術終了です
前回は術後1週間程で再発してしまったとのことでしたが
今回は再発もなく
便もスムーズに出るようになって快適に過ごしてくれています
よく頑張ったね
時を近くしてミニチュアダックスで同じ手術を行いましたが
内容は同じです
皮膚を切開し穴を確認
内閉鎖筋や周囲の筋肉を丁寧に扱いながら
縫合糸で結紮していきます
この子も現在再発もなく元気に過ごしてくれています
会陰ヘルニアという名前は以外と聞き慣れないかもしれませんが
去勢していない中高齢の雄犬には発症しやすい病気です
去勢していないワンちゃんで便の出にくい子なんかは注意してあげてください
では今日はこの辺で・・・・
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