ネコの口蓋裂はこれを見て!【獣医師が分かりやすく5分で解説】
「子ネコにミルクをあげると鼻からミルクがでる」
「子ネコが上手にミルクを飲んでくれない」
「口の中に穴が空いている」
子ネコにミルクをあげるとき、口の中を見たときにこんなことがありませんか?
最後まで読むことで、ネコの口蓋裂を理解し、子ネコの命を救う事につながります!分からないことは私たちにお気軽にお問い合わせください。
目次
口蓋裂とは?
口蓋裂とは、口蓋という口の中から見た上顎部分に生まれもって亀裂が入っている病態のことです。
口蓋裂の原因は?遺伝疾患が主な理由
口蓋裂の原因には遺伝、栄養不足(葉酸不足)、ホルモン異常、子宮内損傷、中毒によるものが報告されています。その中でも一番多いのが遺伝によるものとされているため、口蓋裂を持つ子猫やその両親は繁殖に注意が必要です。
口蓋裂の症状は?食事ができないことも
吸っているのに飲めていない!
動物は食べ物を飲み込む際に、舌を口蓋に押し付けて食べ物を喉の奥に送り込みます。その場所に亀裂がある口蓋裂の子は、哺乳しているように見えて飲めていないことがあります。
鼻からミルク、食べ物が出てくる!
亀裂に入った食べ物の行き先は、上部にある鼻の中です。鼻に入った食べ物は、異物として鼻の外に出て来てしまい、胃に届くことはありません。
咳やくしゃみがとまらない!
鼻に食べ物が入るとくしゃみが出て、また、うまく食べ物を奥に運べずに喉の奥にひっかかると咳が反射的に出ます。亀裂に入った食べ物はその場所に引っかかり続けるため、連続で咳やくしゃみが出ることがあります。
呼吸が荒い!
食べ物の飲み込みがうまくいかない場合、気管に誤嚥してしまう場合があります。咳の症状にともなって悪化すると誤嚥性肺炎を起こし、呼吸困難となる場合があります。命に関わる症状であるため特に注意が必要です。
身体が小さい
口蓋裂をもつ子は身体が小さくなる傾向があります。一緒に生まれた兄弟でもはっきりと体格の差が出ます。慢性的な鼻炎、喉頭炎などの影響、または若齢でごはんを十分に食べられていない影響なのか、はっきりわかっていません。
口蓋裂はどんな検査するの?
先生に口の中を見てもらって!口蓋裂の有無は肉眼的に観察することで見つけることが出来ます。しかし、口を開けるのが苦手な子やごくわずかの亀裂である場合は鎮静麻酔をかけて口蓋を観察する必要があります。
口蓋裂の治療方法は?
手術で縫い合わせることが必要
口蓋は成長するにつれて硬くなっていきます。自然と穴が塞がることはなくより亀裂が固まってしまうため、組織の柔らかい若齢のうちに手術により縫い合わせて穴を塞ぐことが必要です。
手術しなかったらどうなるの?
亀裂の大きさによって異なりますが、上記のような症状が継続し十分な食事が出来ず弱ってきてしまいます。
口蓋裂の予防方法はあるの?
遺伝が主な原因であるため、兄弟(姉妹)や血縁のある動物で口蓋裂がある子がいる場合は繁殖をしないようにすることが必要です。
症例紹介
口蓋裂に関するよくある質問
手術の費用はどれくらい?
亀裂の大きさによって変わりますが、手術料として10万円以上かかることが考えられます。また、複数回の手術が必要となる場合があります。
ミルクの飲ませ方は?
麻酔をかけることが可能となるのは8-12週齢ですので、それまでは食事の介助が必須です。哺乳が出来ない場合、カテーテルと呼ばれる柔らかいチューブを胃まで差し込み、ミルクを投与する方法があります。専門的な技術と注意が必要ですので、必ず獣医師に相談してください。
まとめ
口蓋裂がある子は、ほかにも生まれ持った疾患をもつ場合があるためすべての子を救えるわけではありません。しかし、手術を乗り越えて他の子たちと変わらない生活が出来る可能性が十分にある疾患です。当てはまる症状や気になる事があれば一度獣医師に相談してみてください。
右京動物病院では口蓋裂のような生まれ持った疾患も対応可能です。病態や専門的な給餌方法についても丁寧に解説しレクチャーをすることが出来ますので、お困りの方はご連絡ください。