腫瘍動脈塞栓術
適応疾患
- 肝臓腫瘍
- 副腎腫瘍
- 膀胱-前立腺腫瘍
- 膵臓腫瘍
- 脳腫瘍
- そのほか様々な腫瘍
腫瘍へ栄養と酸素を供給する動脈を、様々な物質で塞栓する手術方法です。動脈が塞栓されることで腫瘍細胞が死滅し壊死します。最大で90%以上腫瘍体積が減少し、腹腔鏡により痛みなく摘出が可能になります。大きすぎて外科切除のリスクが高い場合、抗がん剤が無効である場合にも、とても有用な治療選択肢になります。高齢の場合、動脈塞栓による減容積のみ実施し、手術なしで共存する選択肢もあります。
動脈塞栓術の手順
ステップ①
毛刈り消毒

滅菌を保つため、毛刈りと消毒を実施します。腹腔鏡手術であるためリスクは低いですが、徹底した感染防止対策を講じています。
ステップ②
シース設置

シースと呼ばれる細いトンネルを血管に設置します。そこから血管内にカテーテルを挿入し、腫瘍血管まで進めていきます。
ステップ③
血管ルートの確認

Cアームと呼ばれる機械で血管ルートを確認します。地図の作成にあたる工程で、機械性能が高いほど細かで鮮明な地図を作る事ができます。
ステップ④
腫瘍動脈の確認

腫瘍動脈を確保し、塞栓する血管を最終確認します。CT検査では見えない細かな血管まで観察可能です。
ステップ⑤
塞栓剤の注入

塞栓剤には状況に応じて細かなビーズやゲルを使い分けます。塞栓後造影剤を使用し、腫瘍への血流が途絶している事を確認します。
ステップ⑥
麻酔覚醒

動かないだけの軽麻酔なので覚醒もスムーズで安心。皮膚は縫合の必要すらありません。
ステップ⑦
翌日退院

術後合併症がないか一泊入院で経過を観察します。痛みもほとんどなく、翌日尻尾を振って帰っていくうしろ姿が可愛いです。
ステップ⑧
腫瘍縮小

約2ヶ月で腫瘍の最大縮小が確認されます。この時点で外科切除を検討しますが、、繰り返しの動脈塞栓も可能です。