顔面腫瘍

監修者
平野 太陽

適応疾患

  • 扁平上皮癌
  • 肥満細胞腫
  • 軟部組織肉腫
  • その他のがん

顔面に発生する悪性腫瘍。切除することで根治が十分に狙えますが、可愛いお顔を切り取る必要があり、切除が受け入れられない場合も多いです。特に高齢の場合、残りの余生を考えると、がんの根治ではなく『がんとの共存』を選んでも良いと思います。電気化学療法ではメスを入れることなく、癌の消失(寛解)を目指す事ができ日帰りで実施可能です。

傷の大きさの比較

切除術

目的
根治
痛み
大きい
切除
入院期間
7日

電気化学療法

目的
緩和
痛み
小さい
温存
入院期間
日帰り

電気化学療法の手順

ステップ①
消毒

針を腫瘍に差し込むため、消毒をし実施します。不動化のために軽麻酔をかけていきます。

ステップ②
抗がん剤注入

抗がん剤を副作用が起こらない程度の少量、静脈内に注入します。本来であれば殺腫瘍効果がない程度の微量になります。

ステップ③
時間計測

抗がん剤注入から通電までの間隔は8分に設定しています。

ステップ④
電気化学療法機で通電

8分後、通電を開始します。通電機の先端は剣山型やプレート型など様々な種類を用意しています。腫瘍細胞周囲の正常組織まである程度含めて満遍なく通電します。

ステップ⑤
痛み止めを貼る

術後は患部がズキズキ痛むので、麻薬の痛み止めを皮膚に貼り付けます。投薬なしで効果が数日間持続します。

ステップ⑥
当日退院

軽麻酔で完了できるため、当日元気に退院できます。その後時間をかけて腫瘍が退縮して行きます。

ステップ⑦
術後チェック

術後1ヶ月程度で腫瘍は退縮。可愛いお鼻は温存できました。毛が生えてくるのを待ちます。今後何回でも実施が可能です。

監修者情報

平野 太陽

センター長

右京動物病医院OIKEをはじめ3病院4施設を運営。
獣医腎泌尿器学会 認定医。日本動物病院協会(JAHA) 総合臨床 認定医。
人間の医師の腹腔鏡技術 世界大会(団体の部)優勝。
Advanced Laparoscopy Masterclass in Bucharest(ルーマニア) ~腹腔鏡マスタークラス修了。
奈良動物二次診療クリニック第6期研修修了(腫瘍科、画像診断科、整形外科、軟部外科) NARCシニア研修修了。
『動脈塞栓術を利用した腹腔鏡肝腫瘍切除』を世界で初めて成功し世界内視鏡学会2025にて報告。

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