予防的胃固定
適応疾患
- 胃捻転
元気な子が突然命を落としてしまう胃捻転。特に大型犬での発生頻度が高く多くの命が失われています。予防法として胃を腹壁と縫い付けて固定する予防的胃固定術が考案されましたが、手術には大きくお腹を開ける必要があるため、ほとんど実施されていないのが現状です。腹腔鏡手術では5mmの傷で当日退院できます。避妊手術や去勢手術と同時に受けられます。
傷の大きさの比較
腹腔鏡による胃固定の手順
ステップ①
毛刈り消毒

滅菌を保つため、毛刈りと消毒を実施します。腹腔鏡手術であるためリスクは低いですが、徹底した感染防止対策を講じています。
ステップ②
トロッカー設置+気腹

トロッカーと呼ばれるトンネルを設置。CO2ガスを注入し、お腹をドーム状に膨らませ器具を挿入し手術を実施します。腹圧が上昇することで、止血効果も期待でき、より安全な手術が実施できます。
ステップ③
胃を腹壁に仮固定

胃を腹壁と縫合する位置に仮止め結紮をし、固定します。
ステップ④
縫合ラインを焼烙

縫合する胃と腹壁に、それぞれ軽く傷をつけ、癒着しやすいように焼烙します。
ステップ⑤
胃-腹壁 縫合

返しのついた糸で連続縫合し、胃を腹壁に縫い付けていきます。
ステップ⑥
皮膚縫合

傷口をナイロン糸で縫合し、手術終了です。抜糸がいらない皮内縫合もお選びいただけますので、お声がけください。
ステップ⑦
当日退院

痛みもほとんどなく、当日元気に退院できます。みんな尻尾を振って帰っていくうしろ姿が可愛いです。
