心膜切除
適応疾患
- 心臓血管肉腫
- 乳糜胸
- 悪性中皮腫
心臓を包んでいる心膜。この心膜と心臓の間の空間に水が溜まってしまう疾患があります。水が増えると心臓が正常に動かなくなる心タンポナーデという病態に進行します。胸腔鏡での心膜切除術では5mmの傷でこの心膜を切り取る事ができ、水が心臓を圧迫しないようにする事ができます。何回も心膜内の水を刺して抜く必要がなくなるため、QOL(生活の質)が向上します。
傷の大きさの比較
腹腔鏡による心膜切除の手順
ステップ①
毛刈り消毒

滅菌を保つため、毛刈りと消毒を実施します。腹腔鏡手術であるためリスクは低いですが、徹底した感染防止対策を講じています。
ステップ②
トロッカー設置

トロッカーと呼ばれるトンネルを設置。そこからカメラや器具を挿入し、胸の中で手術を完結します。
ステップ③
心膜切除

心臓は薄い膜(心膜)で包まれた臓器です。この心膜を心臓を傷付けないよう慎重に切除していきます。
ステップ④
皮膚縫合

傷口をナイロン糸で縫合し、手術終了です。術後胸水が出るため、ドレーンを設置し、吸引します。
ステップ⑤
2日後退院

術後一過性に発生する胸水がおさまる、2~3日後に退院できます。痛みもほとんどなく、尻尾を振って帰っていくうしろ姿が可愛いです。
